情報的人間の拡張と特異体

前回の記事で、人間には遺伝子的主体とミーム的主体の2つがあることを指摘した。その続きで、ミーム的主体としての拡張性について記述する。

抽象化された人、組織

ミーム的主体性とは、ソフトウェア的な主体性のことだ。つまり、あらゆる主体性を持つものは、所属する場に対する適応要素「ハードウェア」と場とは関係ない情報要素「ソフトウェア」の2つがあることがわかる。

例えば会社組織は、経済活動と人間組織という2つのハードウェア要素の上に、アイデンティティを形成して「私」を動かしている。人間だって、生物的要素の上に情報的意識でもって動かしている。ある程度高度化した自己保存要素は、ベースの上に抽象化要素を載せるのがこの世界では効率が良いのだろう。

自己記述性を備えた特異体

自己記述性を備えることで、成長的特異点を突破すると通常の個体の能力をはるかに超えた状態になることを前回書いた。それは組織にも同じように適用出来る。組織内文化によって、自己記述性が一定レベルを超えると、それは通常の個体をはるかに超える特異体となる。

特異体は、理想的な自己更新性を備えた組織のことだ。

抽象化される特異体

人間としての特異体を超えると、組織体としての特異体も共通点がたくさんあることに気がつく。仕組みは同じなのだから同じだ。特に情報体として同じレイヤーに存在するのだから、それは当然だろう。

これからの社会は、如何に特異体を形成するのかというのが、殆どの戦力を表すようになるのだと思う。まだ、この認識は一般的ではないが、当たり前の様に扱われる世界が来るのだろうと思う。