SFのすすめ

本をたくさん買ってきた

自分の欲の大部分は知識欲が占めている。特に他の人と比較すると食欲が無い。食べないとやせていく。昔は1日1食とか、良くないと思いつつもやってしまったりした。今は、やろうと思わないけど。自分が一番楽しいと思うのは、知識的な欲を満たせたときだ。例えば、誰も思いつかないような組み合わせの解法を思いついたとか、新しい視点を見つけたとか、自分が価値を作った時にそれを感じる。

他の人と違うものを作る(他の人の作ったものではないものを作る)ということは、他の人とは別の視点が必要だ。別の視点を作るためには、常識というものを理解しつつ、異質のものを組み合わせる事が出来る柔軟さが必要となる。異質のものを組み合わせるためには、情報の柔軟な構造化が必要だ。柔軟な構造化には、今いる世界の常識を、前提条件ではなく、固有のものとして感じる必要が有る。

日本語を知るためには、対比する他言語が必要なのと同じで、今の常識を知るためには異文化、異世界に触れる必要が有る。私はその手段としてSFを使う。SFはジャンルとしてあまりにもマイナーになってしまったので、豊富に置いてある店も少なく、悲しいのだが、素晴らしい作品を読んでみると圧倒的な情報量とアイディアに驚く事が多い。他のジャンルと比べて明らかに壁を抜けていると感じる。まぁ、自分の好みに合っているという話では有るのだが、それは「楽しい」というだけではない。論理的な思考空間を広げてくれる。常識が常識ではなく、ただ固有の値で有ることを教えてくれる。思考の枠を外れ、今までよりも広い世界に進む事が出来る。そういう意味で、非常に「面白い」。

まぁ、偉そうにSFを語るほど読みつくしたわけでもないのだが、読んだことが無い人に少しでも興味を持ってもらえればいいなぁと思う。年末年始に暇が少し有るので、SFをたくさん買ってきた。早速数冊読んだ。読むと何かずっしりしたものを食べたような満足感が有る。嬉しい。

本の読み方

私の本の読み方は、どうやら他の人とは少々違うらしい。私は基本的にネタを探して読んでいる。何かを作る材料を常に探している。私の中に取り込んで、何かが浮かび上がらないかを探している。私は本をネタに自分を読んでいる。だから、同じ本を読んでもぜんぜん感想が違う事が有る。自分は物語の構造、ギミックの使用法、シーンの印象付けをどう使用したから、どうなった。この部分は素晴らしい、そしてこの考えを展開するとこのように発展できる。非常に有意義な本だったとなる。自分の中のリンクがリンクと繋がり、今までと違う世界が見えてくる。これが本の楽しみ方だと思うのだ。

読んだ本の紹介

最近読んだ本の紹介を少しだけ。記憶だけで書くので詳細は微妙。

導きの星〈4〉出会いの銀河 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈4〉出会いの銀河 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

人類は外宇宙に飛び出し、太陽ではない恒星の惑星にいる人類ほど進んでいないETI(知的異星人)を管理、育成しているような世界観。その中で、主人公の管理しているオセアノ惑星を数百年に渡って育てる。石器時代から、現代まで色々育てる。4巻と長いが非常に読みやすく、一気に読んでしまった。

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

SFなのに、行き先は「月」。民間初の月観光施設を建設する話。SFなのに予算があり、マーケティングがあり、裁判がありと驚いた。現実の宇宙がいかに生き物にとって厳しいところか、どれだけお金がかかって、何が手に入るのか。これもまた一気に読んでしまった。

主人公は、未成年の娼婦。車に閉じ込められて、爆殺されるところから、話は始まる。死ぬ寸前で、助けられ圧倒的な能力と共に生き返る。心理描写がうまい。3巻中、1巻をカジノでの戦い(賭け事で)に割いている。賭け事で感動するとは思わなかった。勢いがあり、読みやすい。象徴的なシンボルが随所に散りばめられており、印象に残る。

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

続きも読んでみようと思う。

そんな感じで、SFストックもあと10冊ほど残っている。楽しみだ。