技術と創造の間の本当に必要な2つの事

前のエントリーのコメントを参考にさらに拡張させる。

創造統合開発環境

通常の技術は、それを「解決方法」として学ぶ。それはそれでありだろうけれど、学習と創造、実アウトプットまで合わせて考えるとあまり効率のよい方法では無いのかもしれない。作るためには技術が必要で。でも「作るため」を作るには仕事でもなければ「興味」か「実現したいこと」が必要。

いつか作りたい、いつかやりたいということは、いつまでたっても実現しない。たとえそれが、作成可能な技術を本人が持っていたとしても。たぶん、作るコストが、作った後のリターンより少ないと見積もっている。または、そんなに「作りたいもの」に対する自信が無い。又は自分の作った後の評価が怖いのか。何らかの原因があるのだろうけれど、問題はいつまでたってもそれが完成しないこと

どんなマインドが作りたい物を完成させるか?

物を完成させるためには、適切なフィードバックと適切な心的姿勢が必要だと思っている。反応なきものにたいして、力を注ぐのは非常に苦しい。他にいくらでも選択肢がある中で、その反応が無いものに力を注ぐのは無理に近い。これは根性とかそんなんじゃなくて、構造的に「無理」だ。根性ありすぎて、他にやることが無い人は出来るかもしれない、そんなレベル。

WEB2.0で面白いと思うのは、作る過程でフィードバックを受ける機構を標準化したところ。今まで完成したもの以外は評価されなかったけど、試作品でも評価をされて、フィードバックを受けることが出来る。そういう視点で見るとフィードバック=生存のための食事みたいなものと考えることが出来る。

WEBの世界ではリンクで繋がる=フィードバックを受けないと情報は死んでしまう。サービスも死んでしまう。作品も死んでしまう。ということで、何でもいいから出力をしてフィードバックを受けるのが大切だよ。まぁ、もちろん否定もくるんだけどね。無視よりは、ましなんだろう。というわけで完成させるためにフィードバックは重要だよというお話。

完成条件の判定

そして、どう考えても一番大切なことは完成条件の判定だ。例を出そう。監督という職業がある。それはゲームであろうと映画であろうと製品であろうと完成形を最も左右する。監督の役割は、完成条件の判定だ。

製作チームから監督を引いても、技術的には何も変わらない。しかし、完成形は全然変わってしまう。例えばゲームの話で引けば、360万本売ったドラクエ8を作った会社が、ドラクエの監督:堀井雄二を引いた次回作はどうなっただろうか。ローグギャラクシーというゲームを作った。

ローグギャラクシー

ローグギャラクシー

ま、自分は両方ともプレイした事が無いので、評価はアマゾンのレビューとか値段に任せる。
Wikipediaにも評価が載っているね。

さらに例を出そう。アップルのスティージョブズはどうして技術屋でもないのに、あれだけ完成度の高いかつ売れる製品群を作り出すことが出来たのか。なぜ、他社はコンセプトを知ることが出来てもそれ以上売れるものを創ることができないのか?あなたはどう考える?ジョブズの天才性に理由付けるだろうか、単にそんな才能があるということで片付けるだろうか。私は、彼の完成条件の判定がとても優れているというような評価をする。

Apple iPod nano 4GB シルバー MA978J/A

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果たして優れたものを創るのに必要なのは、技術だろうか?

監督の必要性

監督ができるのは、完成条件の判定だけだ。しかし、それこそが最も重要で全てのものの完成形を決めてしまうくらいに大きい。分野でそこから飛びぬけて評価されているような人というのは、その完成条件の判定において他の追随を許さない。彼らが、素晴らしいものを連続で作り続けられるのは、その完成形が見えるからだ。

そしてそれは、持っている技術によらない。技術はお金さえ積めば集める事が出来る。しかし、完成条件の判定はそのトップ=監督に寄らざるを得ない。これはたとえ一人で作っていたとしても変わらない。つたない技術であっても、その創造力によって人を感動させる事は出来る。しかし、単なる技術だけではそれは感動させることは出来ない。

そして、その完成条件の判定は教育では一切習わない分野である。しかし、今後作業的分野がソフトウェア、人工知能に占められてくるだろうから、最も価値のある力の一つになるだろう事は間違いない。物を創るのに資本がいるわけでも、技術がいる訳でもなく、本当に必要なのは完成形を見る力だ。

アイディアは、すぐにコピーされる。技術もすぐにコピーされる。最後に残るのは完成条件の判定だ。