「学習」とはリンクを繋ぐこと

勘違い学習法「暗記」

あなたはどのような学習法を、使っているだろうか?とりあえず暗記して、問題といて、そのあとに応用問題というのが標準だろうか。受験時代に多くの人は、必ず暗記をすると思う。でも、暗記したってすぐ忘れませんでした?得意な趣味のことなら一度見ただけで覚えてしまうのに。この差は何だろう?

興味関心だけでは説明がつかない。なぜあんなに暗記時間に費やしたのに、それを覚えることができないのだろうか?苦手な教科は覚えるのが遅い。でもそれは本当に興味、好き嫌いだけなのだろうか?

脳の記憶の仕方

それは、脳の記憶の仕方を勘違いしているからだ。馬鹿な勉強法の本は言う、忘却線のグラフを見せて「1日で5割、1月で9割忘れるから、反復をしましょう」と。けして反復を馬鹿にするわけではない。でもじゃあ、何で得意なものは一回で覚えられるんだと言いたくなる。また、なんで、逆に一割は忘れないんだと言いたくなる。全部、そんな記憶の仕方をしているのか?と問われれば明らかに違う。

なぜこんな基本的な間違いをしてしまうのか?それは脳の記憶の仕方が「オブジェクト型」ではなく、「ネットワーク型」だからだ。そこを理解していない教師は本当に多い。とにかく根性で暗記。計算はとにかく覚えるまで数をこなせ。そんなことをいう、無能な教師のいかに多いことか。

さて、「オブジェクト型」とは何だろうか?それは記憶を一つの個体として、一つ一つの頭の引き出しにしまうという考え方だ。対して、ネットワーク型は、リンクの繋がりの多さがその記憶の存在する強さとなる、インターネットと同じだ。リンクがたくさんされれば強い、どこにも繋がっていないモノはないのと同じ。それが忘却、つまり検索できない記憶となる。

リンクを張るということ

リンクを張るというのはどういうことだろうか?暗記法などの方法ではよく、SEO対策の如く、リンクを作為的に大量に作って記憶をさせるものが大半というか、それがすべてだ。リンクというのは記憶の関連付けのことで、その分野の周辺にいかに記憶を持っているかということに左右される。その分野に対する記憶の引き出しができていないという表現は、周辺につながりそうなリンクがないということだ。そういうようなものは普通に勉強するのでは効率が非常に悪い。

なにしろ、基礎の基礎から積み上げていかないと、覚えることすらできないのだから。そう、大人になってからの記憶の効率というのは、あらかじめ頭の中のネットワークに依存する。ネットワークができていなければ、非常に効率が悪くなる。ものすごくできていれば、たとえそれを忘れたとしても、周りのリンクから復元できるだろう。これが本当に理解したということなのだ。

教えるということ

教える側は、教わる側のネットワークを把握しなければならない。そうでなければ、とりあえず覚えろと言っているのと同じだ。教わる側のリンクを巧みに伸ばし、幾重にも重ねることで記憶の定着をさせるような方法が一番いいのだろう。

うまい教師ならば雑談すらも、リンクの重ねるのに使う。下手な教師は、自分で努力しろで終わりだ。まぁ、精神論としては正しいが、能力的には自分は無力ですといっているのと同じだ。

教わるということ

教わる側は、いかに今までの自分の既存のネットワークにつながるかということを、考える必要がある。むりやりでもなんでもいい、とにかく数をつないでしまえば覚えることができる。反復するということは、過去と現在をリンクでつなぐので覚えることができる。書くことで覚えるというのは、動作とそれをリンクすることができるから、覚えることができる。別に既存の方法が間違っているわけではない。

ただ、ネットワークであることを理解せずにやることが、効率が悪いだけだ。何しろ、リンクを伝って記憶を再生させようとしても、それとリンクが繋がっていなければ引き出すことができない。応用の利かないひとというのは、つまりはあれはあれ、これはこれで全部を理解しているのだろう。学習効率が非常に悪い。

T字型の人間になるために

今は、一つの分野だけに深く知っている、I字型の能力の持ち主は専門馬鹿と評価されるような時代になった。それでも、世界一深ければ困らないのだろうが、そうなるには非常に難しい。それよりも、これからの時代に求められる人材は一つ深いものがあって、その周辺に広がるサブ分野というT字型の能力の持ち主が求められている。簡単に言えば応用の利く人、視点、発想の違う、深い人だ。

そのような人材を育てるには、今までの暗記勉強主体の方法では頭打ちになってしまう。暗記を地盤にして発展させられる人はいいが、単純に暗記を続けるような勉強法は、正直お勧めできない。色々な経験をして、いろいろな勉強をして、人間的にもあなたというネットワーク全体が発展するような、生き方が一番いいのだろう。