夢とかなりたいものとかこととか

足りない人が語る夢コメントより

思えば、私の人生は競争ばかりだった。
勝ち抜くことだけが私の存在意義であり、価値であり、意味だった。
ルールは新しいステージにたどり着くたびに少しずつ変わっていった。
それは決まってステージにある看板によって知らされた。
「ここでは友達を沢山作った人が勝ちです。負けた人からは「尊厳」がもらえます」
「ここでは沢山ものを覚えられた人が勝ちです。負けた人からは「未来」がもらえます」
「ここではより多くの異性と交われた人が勝ちです。負けた人からは「存在意義」がもらえます」
看板が競争を生み、私たちはそれを疑問に思う事も無かった。そう。今までは。


それに疑問を持ったのは、前の競争からだった。
「ここではより苦しんだ人の勝ちです。」
私は以前の競争どおり、より沢山働き、人より少なく寝、人より苦しんだ。
しかし頭の中には違和感が張り付いていた。何かが違う。何かを失っている。
おかしな競争は更に続いた。
だんだんと勝者の心がすさみ、目からは光が失われていった。
そして今、私の前には一枚の看板があった。


「ここではがけから飛び降りて死んだ人の勝ちです。」


競争相手は迷うことなく、そこから飛び降りた。私はそれが出来ずに佇んでいた。
彼らは私を指差し嘲笑い、一目散に飛び降りて、そしてがけの底に落ちて叩きつけられ、死んでいった。


私はしばらく迷ったあと、この競争に不参加を決めることにした。
崖から目をそらして唖然とした。そこには何もなかった。
私が今まで通ってきた競争の道以外、そこには何も存在せず、真っ白だった。
ルールは?競争相手は?いかん!今回は競争ではないんだ!
では、競争以外のことをするにはどのようなルールが必要なんだ?
私は自分が何をしたいのか、まるっきり分からないことに気がついた。
「とりあえず寝る場所がほしい」と思った。すると目の前に草原が現れた。
「ついでに口を注ぐ為に水がほしい」と願った。すると草原に小川が現れた。
世界には色がつき、風が体を撫ぜ、光が満ちた。


私はふと、今までいた競争の道を見た。そこは全てが白黒で色がなく、糸のような細い道だった。

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なんだろう。この気持ちは。見ていると泣きたくなる。