P2P型の存在を倒すには

あけましておめでとうございます。いつの間にか来年が今年に。

ピラミッド型の組織は頭を潰せばいい

トップが分かりやすい組織を潰すときは、頭か要となる部分を潰せばいい。だからトップの魔王を倒せば、魔物は消えて世界平和になるし、脳か心臓を壊せば人は死ぬ。初期のインターネットは核攻撃を恐れたアメリカ軍は、中心(トップ)の無い通信組織を作ったのがはじめで。今や、何を潰せばインターネットが壊れるのかは分からない。

生物でも、ヒトデとかは同じような形態をとっているらしい。切り離しても回復する、全てのパーツが全てのパーツの縮図。効率は悪いけれど、生存率は高い。

P2P型の魔王

P2P型の魔王なんてものが、ゲームで敵として設定されたら、倒すのが大変すぎる。魔物の雑魚も含めて一つの生命体と見なすと魔物全てを滅ぼさない限り魔王は死なない。そんなゲームを作ったら、話が延々と続いて山場も何もなくなるはず。

2chでのユーザーなんかも同じような形態を取っていて、あれはP2Pではないけれど、分散型ネットワークとしての素質と特質を備えている。2ch自体がP2Pではないけれど、内部を流れる情報は人間の頭の中で複製して、全体としての個となるようになってきている。たぶん、どこかの組織が2chを潰そうとしたら、P2P型の魔王を倒そうとしているような気分になるはず。

形があってないもの

組織の形態を作るときに、組織内のルールと加入する利益と脱退する不利益を設定する。経年劣化はあるだろうけれど、そのときのルールが組織の形と大きさをほぼ決めてしまう。だから、ルールの改変が出来るようにルール改変のルール自体も決めたりする。ルール改変のコストが大きいと固定したルールで運用する硬い組織になる。ルール改変のコストが小さいと、ルールがすぐに変わるためにやわらかい組織になる。硬いと折れやすく、やわかかいと分散しやすいというデメリットがある。

加入したメンバーは、組織を形作るものがメンバーそのものではなく、そのルールが実体であることを知るだろう。ルールこそがメタ化された組織の種であり、それさえあればいくら分散してもそこから復活が可能だ。P2P型ネットワークが壊れにくいのは、組織の実体をメタ化させた情報に移行してしまうことで本体を守っているところにある。情報を攻撃するのは、非常に難しい。非難しても、分散して増えてしまうだけだ。要するに不死身の敵と戦っているようなものだ。そのメンバーは、実体ではなく仮身なのであるから、倒しようがない。

自己ルールの記述

人間も組織であるから、P2P型の存在として変換可能であると思われる。
人間を、解凍可能なルールとして記述しておくにはどうすればいいのだろうか?

脳内のルールを記述して、それを培養すればそれは本人になるのだろうか。まず、そのためには自分という存在の定義から始めていかないといけない。「私」とはなにものであるのか?クローン化して、意識を移したらそれは自分か?脳だけを取り出して、それを機械の体に繋いだら、それは自分か?脳内の記憶と思考形態を取り出して、それをスーパーコンピュータ上で走らせたらそれは自分か?

過去までの自分の定義

今までの過去では自己定義は、Yes、Noの選択肢で答えられるものだった。しかし、これからは技術によってその2者の間が限りなく引き伸ばされる。生と死が脳死とか、植物人間とかいわれる状態によって、グレーゾーンが生まれたように。私と私以外の間にもグレーゾーンが生まれる。自己という記述の最低限の定義が成されてしまえば、それさえ行えばそれは自己となる。例えば、昔私が考えた定義「私を私だと信じることが出来る」で、考えればその記憶を他人に移したとしてもそれは私となる事になる。

記憶装置と、思考実行装置はこれからますます多様になっていく。今まで人間の脳しか存在しなかったものが、コンピュータがそこに参入してくる。あなたという存在をコピーできるようになったときに、あなたという存在はP2P型ネットワークとして存在するようになるだろう。今のブログだって記憶装置と一定表現しかできない自己の一部として捉えることが出来る。あなたという存在は、人間としての体がなくなっても、ネットワークは残り影響を与え続ける。他者の存在に影響を与えられるのならば、それは存在しているのと同じ事だ。

過去の頭のいい人は、死んでなお自分の思考を媒体によって伝え続ける。画期的な考え方、感動その他の感情を揺さぶる事により、自分のコピーを繰り返す。その人は、思考情報を伝える事で情報層に移行したのだと考える事が出来る。P2P型の組織として情報ネットワーク上を漂う。それは、自己組織化し自己改変する事で情報ネットワーク上を生きていると考えられる。

個の溶け合う世界

ネットワーク化と、個のメタ化による、個の溶け合う世界がくるのだろうか?あなたの「〜をしたい」という考えはあなたのものなのだろうか?メタ化された情報の別の個に命令された考えではないのだろうか?マスメディアは、その命令系統を隠してばら撒くのが得意だ。あなたの思考はあなたのものだろうか?読んだ本の一説ではないだろうか?マンガの1シーンではないだろうか?あなたというオリジナルは存在するのか?コピー可能な世界はオリジナルの価値が高まる。何がオリジナルで、なぜあなたがあなた足りえるのか。これからはDNAは根拠として薄くなるだろう。思考こそが、あなたをオリジナルとして存在させるための唯一のものとなる時代がやってくる。

個は溶け合わない。溶け合うと思っているのは、下位の組織だけ。上位の個が生成されてきたために、下位の個は組織の歯車として存在するようになるだけ。上位の個は、また熾烈な生存競争をはじめ、より生存率の高い個が生まれる。人間がただの情報ハブとして上位の個に認識される日も近いかもしれない。

追記

「悪を憎んで人を憎まず」というのは、悪という情報が本体で、人は端末であるという事を表しているようにも見える。