脅威は何型か?

脅威には、いや組織には複数の構造系が存在する。一つが中心を持つ組織。リーダーの下にサブリーダー、そして手下がいるような組織だ。網一つは、中心の無い組織。リーダーとかではなく、共生はするが分散していて切り離しても生きていける生態系型。

あまりにも強力すぎて、事実上弱点の存在しない敵を相手に、「弱い味方」をどう運用すれば勝てるのか。

大昔、OGRE (オーガ) という、巨大戦車を主人公にした ゲームがあって、「強い単体対弱い多数」をテーマにしていた。

「敵」になるのは人工知能を持った巨大な戦車。1 台しかいない代わり、射程の長い、強力な武器を 山ほど積んでいて、普通に勝負したのでは、「味方」側は絶対に勝てない。

「味方」は単なる歩兵であったり、ちょっとした放題であったり。巨大戦車の前には単なる雑魚だけれど、 その代わりたくさんいる。

プレイヤーは、たくさんの弱い味方を様々に配置して、巨大戦車を迎え撃つ。相手が動くほどに 犠牲が増えるから、とにかく相手の「足」を止めて、それから武器が尽きるのを待つだとか、 弱い側には弱いなりに、いろんな攻略方法があった。

「単体だけれど強力な敵」に、無力な味方が知恵と工夫で対峙するテーマは、いろんな物語に引用されている。

ゴジラ」みたいな単体の敵は典型的だし、映画「インディペンデンスデイ」みたいな巨大艦隊で攻めてくる敵もまた、 必ず「中枢」を持っていて、主人公が頑張って、そこを叩ければ、たいていの問題は解決する。

架空の戦争を扱った物語には、「中枢を持った強大な敵」がたくさん出てくるけれど、 次に来るのはやっぱり、中枢を持たない、分散された強大な敵になるような気がする。

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魔王がアップデートによって、分散型組織に変わりました

さて、「私を倒しても第二第三の魔王がお前を(ry」というせりふがあったりするが、そういうことだったのか。
魔物が全て無線LANで常時接続して、そのネットワーク上のリソースに築かれた思考装置の中で、魔王が存在する。観測できない組織。弱点がなく、全滅させないと死なない組織。この組織の問題は、機動力と統率力の欠如だったりするけど、チーム単位の生態系とかを採用することでそのデメリットも解消できるだろう。

組織の態は何がいいのか?

組織を強く構築すればするほど、その組織は硬くなり強くなる反面、脆さが生まれてしまう。逆に、組織をゆるくゆるくすればその組織は柔らかくなり、最後には組織の体をなさなくなるが、圧倒的な適応力を持つ。問題は、どのような組織が作りたいかということになる。青銅器から鉄器の時代に変わって何が変わったのかと言うと、硬さではなく組織の粘り強さだった。硬いものは、脆い。やわらかい硬さという矛盾するものを持った性質を持っていたのが「鋼」だった。

鋼には鉄原子と炭素原子(0.01~0.3%くらいだっけ)が混合された状態だ。純鉄はやわらかい。それに鉄の組織がずれるのを防ぐようにサイズの大きい炭素原子がいくらか混じっていると言う状態だ。炭素を増やしすぎると、鋳鉄になり硬く脆いものとなる。人間の組織も同じなのだろう。役割の違う複合体をある割合で混ぜたものが強かったりするのだろう。現在も鉄器時代だったりするが、組織の鋼はいつにできるのか?それともできているのか?

成長、進化、分化、学習する組織

その組織は成長する。進化する。環境に適応し、適切に分化し、可能性を洗い出していく。学習を学習し、効率化と標準化を行う。例えば、対人類の最大の脅威を考えてみる。その組織は、けして目的を誤らず、効率的に人類の資源を削り、攻撃をしていることすら悟らせない。進歩に対しては、より大きな脅威を与え、成長をする前に殺してしまう。最大の脅威は、「この世界そのもの」なのだろうなと思ったり。

生存をしているからこそ、脅威が存在する。生きるために生きる。生存することは、何が目的なのだろうか?いや、生存することを目的にしてさらに生存力のあるものが残るという仕組みなのだろうけれど。能力は増え、出来る範囲は増え、より多くの環境を変えられるようになり、最後には環境そのものと戦ったりするのだろう。リソースとの戦い。生存とは、リソースの奪い合いだ。リソースとは、逆エントロピーのことだ。

リソースを取り合って、陣取りゲーム。リソースは常に足りない。満足することなんて無い。無限に渇望する。底なしの欲望。欲望を絶てば、あっという間に絶滅するよね。生存本能との戦い。生への衝動。無欲になっても、そこに待つのは絶滅だけで。限りない欲望は、資源を食いつぶし。陣取りゲームで勝ってもなぁ。