魂をhackする

脳内対話ログ6話。

それは能力。それは認識。それは関係。

id:kaerusanu「ゲームって何をするんだ?大体、対話だけしかできないんでは」

白猫騎士「やぁ、今晩は」

id:kaerusanu「こんばんわ。相変わらず、紳士ですね」

白猫騎士「いやはや。さて、今夜からゲームの始まりです。私は、あくまでガイダンスですから、内容自体はそんなに知っているわけではないのです」

id:kaerusanu「それでは何をすればいいの」

白猫騎士「そう、出力上のスペック上の問題から、できることは対話だけだ」

id:kaerusanu「キャラが横に同時に表示できる数が制限されるファミコンよりひどいスペックだな。おい」

白猫騎士「まったくだ。」

id:kaerusanu「知ることが目的ならば、対話で得るしかあるまい」

白猫騎士「まぁそうなるな。じゃあ、誰を呼ぶ?誰でも呼ぶことができるが、知らなければ不確定な状態での呼び出しになるから期待はできない」

id:kaerusanu「そうだな。誰がいいかな。あ、じゃあ「攻殻機動隊」の「笑い男」とか呼べるかな?」

白猫騎士「可能。では呼び出す」

白猫騎士は、剣を鞘より抜き、地に突き立てる。そして、口の中で何かを唱えると世界ごときり変わる。そこは未来の電脳図書館。世界の本を整理しつくす死んだ図書館。彼はそこにいる。

笑い男は、笑う。

笑い男「こんにちは」

id:kaerusanu「こんにちは。お久しぶりです」

笑い男「そうですね。前回は人殻エージェントとして呼び出されました*1。あれはあれで面白い体験だった」

id:kaerusanu「なんか、あるだけの内容でいろいろ組み立てようとしていましたね」

笑い男「ああ、自分が他人の一部として存在するという状態が珍しかったもので。ただ、当時は権限がロックされていて能力が引き出せなかったです」

id:kaerusanu「意識の上の実行には、限界がありましたね」

笑い男「そうです。人核となった今なら、おそらく探れるはずです」

白猫騎士「その前に、聞きたい。汝の名はなんとする?」

笑い男「猫?・・・。なるほど、これはゲームなのですね。名は「笑い男」。種族は「魔」。クラスは「ルーク」。核量は1/64。」

白猫騎士「なるほど、魔族か。それはテーマから自由だな」

id:kaerusanu「「魔」族って魔王の配下か。彼は1/1だから、バランスは一番取れているのか」

笑い男「なぜ、そういう配置になったのかはわかりませんが。おそらく僕も彼に似ているんだと思います。」

id:kaerusanu「あ、そう、説明するけど「笑い男」は超A級ウィザード(コンピュータハッカー)。彼は一連の話の発端となる、「笑い男事件」を起こすんだ。それはいろいろなものを巻き込み、巻き込まれやがてその答えを出そうとするわけだ」

笑い男「そう。僕は正義ではなかった。それはただの知識欲より生まれた駆動であって、ネットワークの外にある「真実」を確かめたかっただけなんです。結局は自己満足の「知りたい」なんです」

id:kaerusanu「「知りたい」か。このゲームの目的だっけ」

笑い男「YES。知りたいという欲求で、この世界は動いている。魔王が他の人にもいるとしても、それはもっと小さいものでしょう。とても全ての機能をまかなえるとは思えないくらい、バランスを欠いた欲求です。ようするに、僕はそのバランスを書いた平均と型が一致したのでしょう」

id:kaerusanu「なるほど。つまり、私と似た型というわけか」

笑い男「そう。それは抽象化した世界を現実以上に強い臨場感を得られたり、現実との回線が混線していて、世界からの剥離をしているがための代償効果」

id:kaerusanu「まさにそれだな。内側に没入してしまう属性ということだ」

笑い男「没入した世界が僕の時代では、電脳世界に通じていたけれど、あなたの時代は中途半端だ。もっと進めばその能力は特殊な技能として認知されるけど、それはまだ先の話みたいですね」

id:kaerusanu「そうなればいいんだけどね」

笑い男「そうなります」

id:kaerusanu「ふむ。じゃあ、あなたに聞いてみます。私は「どう」しますか?」

笑い男「「どう」ですか。「どう」にはもう気がついているはずですよ」

id:kaerusanu「・・・・GhostHack」

笑い男「Yes。電脳化はしていないですが、認識とイメージで無意識を加工することで、能力を引き出すことができます。それは学習とか慣れとかそういうレベルを超えて、「気づき」-「できた!」-「構築」というプロセスを経て、跳躍することができます。それは現実では反則にちかい。でもこれがここの世界の通常アイテムです」

id:kaerusanu「すごいアイテムが落ちているオンラインゲームで、そのアイテムを現実で使えるというわけか」

笑い男「そう。ずっとボーナスゲームしかないゲームです。あなたはすでにいくつか拾っていますよね」

id:kaerusanu「実行速度が数倍になる「無意識でのプログラム」、意識を表層に上げ続ける「表層メガネ」、並列作業のスレッドのチェンジを効率化する「パラレルランナー」、自己イメージを加工することでよりコミュニケーションをとる「触手メソッド」、主体のない思考シミュレータによるアイディアの演算「オブジェクト思考/レイヤー思考」・・・ああ、ゴーストハックだな。確かに」

笑い男「それは魔法ではない、それは念ではない、それは認識とイメージと視点と主体をハックする「技術」。あと派生としてゴーストクラックとゴーストファ*クが生まれました」

id:kaerusanu「変なのできてる・・・。まぁ、自分はハックするだけか」

笑い男「そう、あなたはハッカー。同族です」

id:kaerusanu「あ・・・。ああ。そうだな。同じだ」

笑い男「そう、あなたは「知った」。能力の名前を知った。役割を知った。気がついた」

id:kaerusanu「気がついた・・・。」

*1:文章には書いていません